16小節のラップのリリックを書こうとすると、
「歌い出しをどんな言葉から始めようか」とか、
「9〜12小節目がどうしても蛇足というかぐだった感じになる」とか、
「最後のまとめがいつも尻切れトンボみたいな感じになってしまう…」とか、
作詞の展開につまるところが人それぞれあると思います。
僕は1小節目、歌い始めをどんな言葉から始めるか結構悩みます。友達では、最初でテーマを投げかけて4小節目あたりで結論を書いてしまって、残りずっと蛇足になるという人がいました。
こんな感じで悩みだした時の解決策として、「パンチラインから全体を展開させる」という自分なりの方法を使って、リリックを完成させたりします。
名付けて「パンチライン全体展開法」です。今決めました。
ネーミングセンスはさておき、だいぶやりやすい方法だと思うので自分のリリックを元に紹介します。
リリック
何千往復した3号線 天文館か騎射場待ち合わせ
明日も早いのに 日を跨いで歌って
夢も不安もくだらないことも 共有できる仲間と
泥臭く暖かい空間 この場所で出会った人たちは忘れない
ずっと鹿児島で音楽やって飯を食うと誓う人もいれば
故郷に必ず錦飾るからと上京したやつもいる
家族のためにラップやめて頭下げて働く人もいれば
宮崎行ってもなお鹿児島でイベントやってる仲間もいて
たいした街じゃないがこの街の人に憧れていた
ひょっとしたら交わらずに進んだ人生かもしれなかった
ひたすら矢継ぎ早に移りゆく季節を眺めては
今も変わらない自分と照らし合わせた
どこ行こうと俺たちはずっとあの同じ月の下
相変わらずな面子思い浮かべては まだ頑張れる
VERSE 1からまだまだ終わっとらんこのストーリーを歌うのさ
桜島背にしたためたカゴシマシカ
1.テーマに対しての自分の答えを一言でまとめる
テーマはざっくり「地元愛」でした。地元鹿児島について歌うにあたって、桜島とか中央駅みたいなアイコンよりも、クラブやライブハウスとかでお世話になった人たちを追うのがいいなと思いました。
それについてまとめた結果、「たいした街じゃないがこの町の人に憧れていた」という一言がパッと浮かんだので、これをこのリリックで伝えたいパンチラインに定めました。
2.16小節を4小節で区切り、起承転結で分ける
ラップは16小節で1バースとして作るのが結構基本的になってくるんですが、
これを1〜4は出来事、5〜8はそれに関する感想、9〜12は山場を作り、13〜16は結論に向けて締めくくるというように、何について書くかを明確に切り分けます。
これで全体の展開がぶれにくくなるはずです。分け方は別に上記じゃなくても自由でいいんですが、僕は基本この区切り方しかしません。
3.パンチラインをそのままどこかにはめ込み、軸にする
1.で決めたパンチラインが、起承転結のどこで一番生きるかを考えて、一番輝きそうなところに当て込みます。そしてそのパンチラインは言葉を変えず、そこからは動かさないようにします。
僕はだいたいパンチラインを後半に持ってくることが多いんですがこの曲はBPMも遅くてだいぶ言葉数が多くなりそうな気がしたので、山場の始まる9小節目に置きました。
4.パンチラインからじわじわと周りを埋めていく
軸が決まると全体の展開も作りやすくなります。この軸になるパンチラインは前後がどうであれ言葉は変えないので、韻を踏んでないことになることもしばしばあるんですが、かえってその言葉の強さが増すような効果が期待できます。
「出会った地元の人たち」について書こうということが決まったので、
その手前の「転」では印象的な一人一人を、そこからさらに手前の「起」ではそんな人たちと遊ぶ情景を書き起こしました。山場の後の「結」では「VERSE 1からまだまだ終わっとらんこのストーリーを歌うのさ」てところでちょっと強引にまとめました。
こんな感じです、どうでしょうか。
Punchline Overall Expansion Method 略してポエム
リリックに困ったらこの「パンチライン全体展開法」をぜひ試してみてください。
「パンチライン全体展開法」はどんなラップのスタイルにも応用できるはずです。「パンチライン全体展開法」を試して作りやすくなったという方がいたら、「パンチライン全体展開法、よかったよ」と言ってくれると嬉しいです。逆に「パンチライン全体展開法の他にも書きやすい方法あるよ」てのがあれば教えてください、それ試してみます。よかったら「パンチライン全体展開法」は捨てます。
アイキャッチ画像作ろうとエキサイト翻訳にぶち込んだら、
「Punchline Overall Expansion Method」てかっこいい横文字が出てきました。
イニシャルとったら「POEM」ポエムですね、最高です。
「パンチライン全体展開法 a.k.a ポエム」をよろしくお願いします。
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